| □歌舞伎の演目 歌舞伎の演目は大きく分けて「舞踊」と「芝居」があります。 舞踊…物語を踊りで演じていくもの。台詞はあまりない。 芝居…物語を台詞で演じていくもの。 芝居にはいろいろな物語があり、大きく分けて「時代物」と「世話物」があります。
□歌舞伎の名作 ■…時代物 ■…世話物 ■…歌舞伎十八番 ■…舞踊 ■「仮名手本忠臣蔵」かなでほんちゅうしんぐら 〜江戸っ子やんやの仇討ち物語〜 御存じ「忠臣蔵」の歌舞伎版。十一段もある大作です。赤穂浪士は幕府にとっては謀反者、そのままでは演じられないので大石内蔵助は大星由良之助、浅野内匠頭は塩冶判官、吉良上野介は高師直と名前を変え、時代は室町時代の設定になっています。松の間の刃傷から判官の切腹、大星の放蕩三昧から討入までどこを見ても面白い演目です。 ■「菅原伝授手習鑑」すがわらでんじゅてならいかがみ 〜せまじきものは宮仕え〜 菅原道真の濡衣による流罪と、当時の三つ子誕生という話題を織り交ぜて作られたもの。道真の「梅は飛び桜は枯るる世の中に何とて松のつれなかるらん」という句にあてはめ、梅王丸、松王丸、桜丸という三兄弟が権力争いに巻き込まれる悲劇を描いたものです。桜が散るように、桜丸は早々と死に、花の咲かない松のように、松王丸は子を死なせてしまいます。名前に掛けたキャラクター作りが巧みな名作。 ■「義経千本桜」よしつねせんぼんざくら 〜滅び行く悲しい運命〜 義経伝説を題材にした見どころ盛り沢山の名作。義経が朝廷から賜わった「初音の鼓」にかこつけて「頼朝を討て」と偽りの命令が下るが、それを知った頼朝から都を追われてしまう。義経は愛妾 静御前に鼓を預け、諸方をさまよう。各段では、卿の君、平 知盛、いがみの権太、狐忠信の四人が悲劇のヒーロー義経のイメージを背負った存在として登場する。人間たちは親や自分の犯した罪の輪廻に縛られて死んで行くが、鼓の皮にされた親狐を慕う子狐の忠信だけは願いを叶え山へ帰って行く。 ■「妹背山婦女庭訓」いもせやまおんなていきん 〜歌舞伎版ロミオとジュリエット〜 大化の改新の登場人物と権力争いを背景にした3人の女の悲しい恋の物語。吉野川を挟んで不仲の家同士の久我之助と雛鳥は極悪人の蘇我入鹿に謀反の疑いをかけられ、引き裂かれそうになる。両家の親は子を思い和解をして2人の命を断つことで一緒にしてやる。 ■「助六由縁江戸桜」すけろくゆかりのえどざくら 〜江戸っ子のスーパースター色男〜 腕が立って男前、花の色町吉原でモテモテの助六は、実は親の仇討ちを企む曽我五郎。事あるごとに喧嘩を売るが、喧嘩好きにはワケがある。刀を抜かせて失われた家宝の友切丸を探しているのだ。助六の恋人は吉原一の花魁 揚巻。助六の悪口を言って言い寄る髭の意休に花魁の目一杯の意地を込めて悪態をつく。この意休が持っているのが友切丸で…。絢爛豪華な吉原の風俗と、楽しいお話が見もの。 ■「弁天娘女男白浪」べんてんむすめめおのしらなみ 〜知らざァ言って聞かせやしょう〜 呉服屋に現れた品の良いお嬢様は、実は盗っ人で女装もデキる弁天小僧。万引きするフリをしてわざと傷を受け治療代を強請ろうとするが、腕の刺青で男とバレてしまう。見破った侍は、実は一味の頭領 日本駄右衛門。安心させておいて有金全部頂くつもり。だが店の主人は実は…。追っ手を逃れて稲瀬川。ここが有名な‘志ら浪’の傘をさし五人揃って名セリフをつらねる場面。粋で鯔背な盗っ人の美学が炸裂する痛快劇。 ■「東海道四谷怪談」とうかいどうよつやかいだん 〜げに恐ろしきは女の怨み〜 ご存知お岩さんの怪談噺。貧乏浪人の伊右衛門は隣の金持ちの娘に惚れられて、妻のお岩さんが邪魔になった。産後の肥立ちが悪くて床に臥しているお岩さんに毒を盛ると、みるみるうちに醜い顔になり死んでしまう。川に捨てたお岩さんが再び伊右衛門の元に流れ着き、伊右衛門とその回りの者を次々と呪い殺していく。 ■「勧進帳」かんじんちょう 〜主君のためならエンヤコラ〜 源 義経と弁慶の奥州落ちを主題にした作品。義経は強力(荷物持ち)、弁慶は山伏に身をやつして安宅の関を越えようとするが、関守の武将 冨樫左衛門に止められ、怪しまれてしまう。なんとか関を越えたい弁慶は、寺の寄付金を募る旅だと言うと、冨樫に勧進帳(寄付金集めの主旨を書いた巻物)を読めと言われてしまう。弁慶は白紙の巻物をいかにも本物のように読み上げると、冨樫は義経一行と知りつつも見のがしてやる。能の「安宅」を歌舞伎に取り入れたもの。 ■「暫」しばらく 〜弱きを助け悪をくじく〜 天下を狙う悪人の藤原武衡が、八幡宮へ参詣に来た加茂次郎にケチを付け殺そうとするが、そこへ「しばらく!」と鎌倉権五郎景政が勇ましく登場して武衡の手下をバッタバッタと切り捨てる。 鎌倉権五郎は柿渋色に市川家の三升の紋の入った大きな素枹に大太刀、隈取といういでたち。ワルを懲らしめる権五郎を演じる團十郎は、江戸っ子のヒーローでもありました。歌舞伎の様式美が詰まった演目。 ■「京鹿子娘道成寺」きょうかのこむすめどうじょうじ 〜化けて出てやる!女の執念〜 美しい僧の安珍に恋した清姫は、デートの約束をするも振られてしまう。京鹿子娘道成寺はその後日談を舞踊仕立てにしたもの。寺の鐘供養の日に鐘を拝ませてくれと現れた白拍子の花子(実は清姫の化身)。花子の美貌に浮かれた坊主たちは、舞を披露すれば寺に入れてやると言う。烏帽子をかぶり、しずしずと舞い始めるも次第に激しくなり、遂には安珍を隠した憎い鐘を呪い落とし、蛇の本性を表して鐘に取り憑く。舞と共に次々と変わる衣装と、体力、技術勝負の踊りが見もの。 参考文献 山川静夫の歌舞伎十八選 /山川静夫 著/講談社 歌舞伎鑑賞ガイド /おくだ健太郎 著/小学館 ○歌舞伎まめ知識 ○歌舞伎を見に行こう ○歌舞伎リンク |