■扉絵解説
鈴木春信「めだか掬い」 明和四〜五(1767〜68)年
杜若や河骨の花が咲く初夏の涼しげな水辺で、少女たちがめだかすくいをしている。右手の少女が持っているのはガラスでできた「金魚玉」で、天明年間には金魚や小魚を入れて眺めるのが流行していたらしい。左手の少女は涼やかな薄物の着物を着て、網を手にめだかをすくっている。春信らしい無邪気な少女たちが可愛らしい一枚です。
春信―錦絵の祖
鈴木春信は江戸中期の亨保から明和期に生きた浮世絵師。生年は不祥とされていて、初期には2・3色で刷られた役者絵などを描いていた。江戸の通人たちによる「絵暦」(太陰暦の月の大小を記したもの)の交換が流行りだすと、その注文によって華やかで贅をこらした浮世絵を作るようになり、やがて多色刷りの「錦絵」の技法を確立する。役者だけでなく、笠森お仙など市井の美人を浮世絵にするなどして瞬く間に一番の人気絵師になるが、明和7年に急死する。活躍したのはわずか5年ほどで、その正体の多くは謎に包まれている。
古典や初々しく可憐な若い恋人たちなどロマンティックな主題や躍動的な構図、重力から解き放されたように軽やかで、柳腰のしなやかな美人、柔らかで美しい色彩が特徴。
春信の生きた時代
8代将軍 吉宗から10代将軍 家治の時代、同時期には杉田玄白、伊能忠敬、平賀源内、長谷川平蔵などが活躍していました。市井には自由で明るい空気が流れ、振袖など華やかな衣装からもその雰囲気を感じ取ることができます。 |
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