□04/04/13 #30 眼福 MOA美術館に「光琳デザイン展」を見に行ってきました。今回は国内各地に散らばる光琳の残したデザイン画などが集められた特別展示。光琳好きにはたまりません。着物に蒔絵、お皿にいたるまで様々な意匠が墨一色でさらっと描き残してあるのですが、さすがは光琳、1つ1つにキラリとセンスが光っていて、学ぶところが沢山ありました。中でも特に「団扇」が素敵!こんな団扇であおいだものなら、さぞ優雅な風が吹くことでしょう。琳派つながりということで第1室には俵屋宗達の掛軸が8幅も!竜虎の一幅対は迫力がありつつもなんとも愛嬌のある、宗達らしいおおらかな描きっぷり。本でもあまり見たことがない作品が見られて、う〜〜ん、眼福。良いものを見ると、心が豊かになりますね。 写真は数寄屋造りの光琳屋敷と新緑のもみじ。 □04/03/28 #29 三月大歌舞伎 急遽都合がついて、歌舞伎を見に行ってきました。3月の歌舞伎座昼の部は伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)、藤娘(ふじむすめ)、恋飛脚大和往来(こいひきゃくやまとおうらい)。 「伽羅〜」はお家転覆を目論む仁木弾正一派から若君を守らんと手を尽くすが、身替わりに我が子を失ってしまう乳母政岡の物語。今回もオイシイ所は子役持ち。敵の八汐が政岡(菊五郎丈)を遠ざけようと濡衣を着せて牢に入れようととするが、若君は「政岡を牢へ入れるならそち行け〜!(言い方がオモシロい)」と八汐をやりこめてしまうし、政岡の子千松の「お腹がすいてもひもじゅうない」の名セリフに、見事に毒味役を果たして死んでいく場面が切なくて、見応えがありました。時蔵丈の沖の井、菊之助丈の松島の綺麗どころが華を添え、出番は少しだけれど富十郎丈の男之助はさすがのキレ味でした。 打って変わって「藤娘」は暗闇からぱっと華やかな藤の舞台が現れる素敵な演出。ぱたぱたと走る姿に恋する乙女の可憐な雰囲気がとても良く出ていて、さすがは大御所芝翫丈。他の2本がしんみりなお話なだけに、華やいだ気分になれるうれしい演目でした。 「恋飛脚〜」は待ってましたの仁左衛門丈と雀右衛門丈。恋ゆえに罪を犯し、死出の旅に連れ立つふたりは黒に揃いの裾模様。仁左衛門丈は忠兵衛の父孫右衛門と二役なので、二枚目の綺麗なお顔が少ししか見られなくてちょっとがっかり。そのかわり相変わらずお美しい雀右衛門丈をじっくり見ておきました。好きな人の父親を思い遣る優しさ、けなげさが滲み出て、後ろ向きでじっとしている時の襟足の色っぽさと言ったら…。恋を選んだ男と子を想う父の悲しい別れ…死出の道行は子役を使って遠近感を出す粋な演出。子を失う父の絶望感が舞い散る雪の中でひしひしと伝わってきました。今回も満足の1日でした。 □04/03/07 #28 すてきなおみやげ 鎌倉の旅のおみやげに、かわいい梅のかたちの落雁をいただきました。紅色のつぼみと白梅の落雁が梅のかたちの器に入っていて、開けた瞬間に「かわいい!」と叫んでしまいました。食べ終わった後は、お香入れにでもしようかな〜なんて考えるのも楽しい、素敵なおみやげでした。 もう1つ、春のたより。冬の間ちょっとほっぽらかしだったちび盆栽に、小さな芽が出てきました。枯れていなくてひと安心。青い葉が広がる日が楽しみです。 □04/02/18 #27 ひとあしお先に 熱海のMOA美術館へ「国宝
紅白梅図屏風と所蔵名品展」を見に行ってきました。毎年2月の梅の季節に合わせて公開されており、去年も見に行ったので1年ぶりの再会です。今回は屏風に合わせて紅い縮緬に梅の刺繍の入った半襟を合わせた黒の着物で出かけてみました。相変わらず人気があるようで、この展示室は人がいっぱいでした。見る度にその華やかさ、独創性、デザインセンスに心惹かれて止みません。300年前の光琳の息遣いが伝わってくるようで、しばしじっくりと見入ってしまいました。この2月は、この美術館の3つの国宝が揃って見られるお得な展覧会で、「色絵藤花文茶壺」と「手鑑 翰墨城」の2つの国宝もじっくりと観てきました。「翰墨城(かんぼくじょう)」には、そのネーミングセンスにただただ脱帽。『翰(ふで)と墨で築いた城』という意味だそうで、『城』とはそもそも武道の象徴のようなものですが、それを『筆と墨』で築こうとは! 何と風雅なんでしょう…。 妙なところで、妙に感動してしまいましたが、もちろん中身も素晴らしいものです。 前回は修復中で入ることができなかった茶園も入られ、光琳の終の住処を復元した「光琳屋敷」も見てきました。庭の紅梅が早くもちらほら。ひとあしお先に春を堪能した1日でした。 MOA美術館: http://www.moaart.or.jp/ □03/12/26 #26 十二月大歌舞伎 12月の歌舞伎座は夜の方が面白そうな演目なのですが、時間の都合で昼の部のみ(残念)。今回は気合いを入れて着物での観劇です。とは言っても一番安い席なので、洒落過ぎてもかえって格好悪し。ちょっと変わったデニム生地の縞の着物に手作りの水玉の名古屋帯を角出しに結んでみました。(写真は遠目なので縞がつぶれて無地に見えます)演目は「舞妓の花宴」「源平布引滝」「道行旅路の嫁入」「西郷と豚姫」。「舞妓」と「道行」は福助丈の舞踊でとても艶やか。赤やピンクの振袖や黒地に総刺繍の帯に、何気なく家紋が入っていてとってもお洒落。舞い踊る指先までもが美しくて、うっとりしてしまいました。「源平〜」は武蔵でおなじみの新之助丈。平家方だが実は源氏の再興を願う実盛が、源氏方の未亡人葵御前とその子を助ける爽やかなお話。主人公は実盛だが、おいしい所を持って行っているのは子役の太郎吉。見得を切ったり、母の仇を討ったりと大活躍です。ワル役の左團次丈からいいダシが出ていました。「西郷〜」は近作のお話で照明が暗くなったり、くだけた演技の新しい歌舞伎。勘九郎丈演じる色白で丸々と太っているが、心やさしい通称「豚姫」と團十郎丈演じる西郷の恋のお話。舞台は祇園で、艶やかな舞妓姿も見もの。福助丈演じる芸妓岸野は、これまたいい味が出ていて最高でした。 京都南座の顔見世興行では仁左衛門丈と玉三郎丈の黄金コンビが観られるそうな…。 □03/11/03 #25 顔見世大歌舞伎 11月は東西の大物役者が揃う顔見世興行。江戸時代の芝居座は役者と1年契約で、年末に来年の顔ぶれを披露した興行の名残りだそうです。 さて、昼の部は「梶原平三誉石切」「船弁慶」「松竹梅湯島掛額」。 今回のお目当ては仁左衛門丈。「石切梶原」は娘のため刀を売りに来た六郎太夫が、自分が斬られて名刀であることを証明しようとするが、真贋を見抜いている梶原がわざと斬り損なって助け、代わりに石の手水鉢を斬って名刀を誉め讃えるお話。梶原扮する仁左衛門丈の評判通りの男前ぶりについつい見とれてしまいました。 「船弁慶」は富十郎丈の一世一代(演じ納め)の大舞台。脇を固めるのも仁左衛門丈、吉右衛門丈、雁治郎丈と超豪華。ですが…席が悪く下手(しもて)で踊っている主役がほとんど見えない状態。これはちょっと残念でした。やっぱり席はフンパツしないとダメですね。 「松竹梅」‘お土砂の場’は喜劇仕立ての楽しい演目。寺の小姓 吉三郎に恋するお七(菊之助丈)は寺にもぐり込んで夫婦の約束をしようと必死。それを聞き付けたひょうきん者の紅屋長兵衛(菊五郎丈)はお七を助けようと、かかるとグニャグニャになってしまうという寺の秘薬「お土砂」をまき散らして大さわぎ!某燃焼系飲料のCM「ピラミッド縄跳び」をまねしてみたり、客と案内係(本当は役者)が舞台に乱入してきたり、幕を引っ張る黒子までお土砂をかけられてグニャグニャ!とにかく楽しいお話でした。 ‘櫓のお七’はその続きで、吉三郎に合いたいお七は、極刑になるお定めを破って櫓の太鼓を叩いてしまう。「人形振り」という浄瑠璃人形のまねをする演出でお七の情熱を表現するのですが、手の動きなどもよくできていて、とてもドラマチックで素敵。今回も大満足の舞台でした。 □03/10/01 #24 十月大歌舞伎 十月の歌舞伎座は何と言っても玉三郎丈の七変化が楽しみ。昼の部は「盟三五大切」「連獅子」午後の部は「祇園祭礼信仰記」「於染久松色読販」。 「盟〜」はわかりやすいお話が好きな私にはちょっとつまらない演目でした。「連獅子」は親子獅子が紅白のふさふさした長い鬘を振り回すお馴染みの演目ですが、紅白黒金緑の婆娑羅な色使いにもかかわらず、洗練されていて豪華な衣装に目が釘付け!黒地に白い牡丹の袴がとっても素敵。花道七三でぶんぶん髪を洗う姿に外人客が大喜びしているのが印象的でした。「祇園〜」はお姫さまがぴったりの雀右衛門丈。雪舟が鼠を足で描いたという伝説を真似て捕われながらも必死で鼠を描くのですが、はらはらと散る桜の中の雪姫は美しくて、幻想的でもありました。 さてお待ちかねの「お染の七役」ですが、玉三郎丈の艶やかなこと!そのままでも十分うっとりですが、簾を通りすぎただけなのにもう若衆姿に変身!ほんの5秒ほど、目を疑う早業です。しかも眉毛まで消えたり現れたり…一体どうなっているんでしょうか?? 30回以上の見事な早変わりとお芝居を堪能した後は、大和屋の首抜きの着物姿で大興奮の大立ち回り!も〜〜〜いいモノ観た、大満足です。日本人に生まれて良かった!一度は玉三郎丈を観るべし、です。 (玉三郎丈の「於染久松色読販」は12月28日(日) 22時〜NHK教育にて放送されます。興味のある方はどうぞ。) □03/10/15 #23 またまた歌舞伎 楽しみにしていた九月大歌舞伎。以前観てすっかりファンになってしまった成駒屋親子と鬼平の吉右衛門丈が出るのでとっても楽しみ。お弁当を買っていざ乗り込む。下手側の席だったのでちょっと観づらかったけれど、双眼鏡持参で表情もよく見えた。昼の部は「彦山権現誓助剱」「六歌仙容彩」「河内山」。六歌仙「喜撰」は喜撰法師と祇園のお梶の洒脱な踊り。特に喜撰の富十郎丈とお梶の雀右衛門丈の人間国宝コンビの、80代とは思えないハツラツな踊りにびっくり。坊主頭につるんと滑る鉢巻も楽しい踊りでした。河内山は初代吉右衛門の得意芸で、追善狂言として孫の当代が上演。悪賢い坊主の河内山が偉い坊さんのフリをして女中を助けに行くというお芝居で、最後の「馬鹿め!」の決めゼリフが見もの。観客の「待ってました!」「二代目!」の声に混ざって、「じいさんそっくり!」の声にやんやの喝采。こんなところが歌舞伎の醍醐味だなぁ〜と思ってしまいました。夜の部は「俊寛」「身替座禅」「ひらかな盛衰記」。「身替座禅」は狂言を歌舞伎にしたものなので最初から最後まで面白おかしくて、「俊寛」でさっきまで汚い坊主のナリをしていた吉右衛門丈がコワモテの奥方に扮して、ヤキモチで「え〜〜ん!」と泣いてみたり、富十郎丈のおとぼけ亭主ぶりも楽しい大満足の演目でした。 歌舞伎の楽しさ満喫の1日でした。 (9月に書いたまま、掲載が遅くなりました。) □03/08/13 #22 歌舞伎はやっぱり面白い 歌舞伎座に八月納涼歌舞伎を見に行ってきました。封切したてもあってか、幕見でもすごい行列。並んだ甲斐もあって前列、真中の席をゲット。第2部の「牡丹灯籠」は落語の怪談噺を芝居に仕立てたもので、浪人 新三郎に恋した幽霊のお露が、恋人会いたさに下男の伴蔵に魔除の護符を取ってくれと頼み、遂には新三郎を殺してしまうというもの。傑作だったのが、福助丈演じる伴蔵の妻 お峰。独特の声と喋り調子、ひょうきんなおかみさんっぷりと言ったら、もう最高でした。伴蔵の三津五郎丈との掛け合いも小気味良くて、さすがは役者! 2幕は1幕とは打って代わって、シリアスな雰囲気。一旗揚げた伴蔵とお峰ですが、結局は破滅へと向かっていきます。「えぇっ!?」という大掛かりな演出、立ち回りも見物です。 もう1つ、「団子売」は勘太郎丈、七之助丈兄弟 扮する夫婦の団子売りが、仲睦まじい様子で楽しそうに団子を作るかわいい踊り。 準備のところで妻のお福が臼に置いた杵を落としてしまったけれど、「あらぁ〜」といった感じで取りにいくのがとてもかわいかった(笑)。さすがは兄弟、息もぴったり。物心ついた時から仕込まれただけあって、踊りも見事。返すがえすも「さすがは役者!」な1日でした。 見どころの演出などはあえて書きませんので、ぜひ見に行って楽しんでみて下さい。(写真は歌舞伎座前の老舗足袋屋さんで買った歌舞伎俳優の紋づくしの手ぬぐい。) □03/08/11 #21 舞台とマナーと 野村萬斎 氏出演の薪能を見に行ってきました。季節外れの台風10号の直撃で大雨。本来なら神社の神楽殿で舞われるはずだったのですが、結局舞台は屋内で行われました。今回は着物でお洒落を決め込んで出かけようと思っていたのにこれもダメ。まったく、余計な台風です。 演目は「翁」と「鞍馬天狗」。「翁」はお祝いの時にだけ舞われる特別な能で、神々しくとても見ごたえがありました。 野村萬斎 氏の舞う三番叟はきびきびと躍動的、翻る素枹の袖も優雅で声は朗々と美しく通り、本当に素晴らしいものでした。TVで見るよりかなりの美男子ぶりにびっくり。 素晴らしい舞台に比べ、最悪だったのが観客のマナー。電話はピーピー鳴る、フラッシュを焚いて写真を撮る、上演中ばたばた出入りする。これでは役者の集中力も観客の気分も削がれてしまいます。他のものと違って能は静寂と幽玄さを楽しむもの、最低限のルールくらい守って欲しいものです。あと、能ではその性質上、拍手が邪魔になってしまいます。役者はもちろん、囃子方が退場するまで舞台は続いています。上演中や最後の一人が退場するまでは拍手はしないようにしたいものです。 (写真は台風一過の朧月夜。) ○雑記帳 #31〜#40 ○雑記帳 #01〜#20 |