□05/03/17 #40 十八代目 中村勘三郎 襲名披露 三月大歌舞伎

3月は待ってました!の中村屋の十八代目襲名披露。いつにも増して歌舞伎座は大賑わい。早々にプラチナチケットを手に入れて、いざ乗り込む。
昼の部は「猿若江戸初櫓」「俊寛」「口上」「一條大蔵譚」。
夜の部は「盛綱陣屋」「保名」「鰯売戀曳網」。
一番楽しみな「口上」はずらりと裃姿でそれは華やか。まずは舅の芝翫丈の挨拶に始まり、やっぱり面白いのはこの人。「芝居中に後ろからぷっと音が出てしまって「のりちゃん(勘三郎丈)、ごめんね」と謝ったら、「笑いをこらえるのが大変だったじゃないですか」と怒られました」と左團次丈。「泣いたり笑ったり怒ったり喧嘩したりしながら一緒に舞台をつとめさせていただいたけれど、勘三郎を襲名されてもどうぞ、私を相手役に使って下さいませ(笑)」と福助丈。玉三郎丈からは「「にいさん、十八代目を襲名することになりました」と言うので「じゃあ数が六つも減るじゃない」とヤジったら、ちょっと困って「でも、‘三郎’が一緒になるからいいでしょ?」と言われました(笑)」とナイスな笑い話が飛び出して、勘三郎丈の人を惹き付ける人柄が表れた素敵な口上でした。
「一條大蔵譚」は‘作り阿呆’の公家の話。アホのフリをして敵方を欺いているが、実はキレ者の大蔵卿が、勘三郎丈のキャラクターとかぶって当たり役。序幕のアホのフリがこれまた面白い。仁左衛門丈と玉三郎丈扮する美しい夫婦も華を添えて、楽しいお芝居でした。
実はこれが観たかった「鰯売戀曳網」は三島由紀夫作の近作歌舞伎。鰯売りの猿源氏(勘三郎丈)は偶然見かけた傾城の蛍火に一目惚れして気もそぞろ。それを見たなむあみだぶつ(左團次丈)が大名に化けさせて廓に乗り込んでみると、あの蛍火が。もう夢中の猿源氏は、酌をするかむろを突き飛ばして蛍火と酒を注ぎあい三々九度状態(笑)。「鯛や平目」の合戦話で騒ぎ疲れて寝てしまうと、つい寝言で鰯売りの売り声が出てしまい、蛍火に偽大名だったことがバレてしまいます。一巻の終わり…と思いきや、蛍火は猿源氏の売り声に惹かれて城を飛び出したお姫様で、流れ流れて廓勤めの身になったことがわかります。そうこうするうちにお城から身請けの金子が届き、晴れて二人は夫婦になります。義太夫を巻き込んだり、所々に笑いを織り交ぜた楽しく、そして心温まるおとぎ話のようなお芝居でした。
やっぱり襲名披露。役者も芝居も選りすぐり、盛り上がりも最高潮で、見ごたえのある楽しい1日でした。(今回は寝なかったゾ!!)



□05/02/28 #39 二月大歌舞伎

2月も例によって、歌舞伎を観てきました。昼の部は「番町皿屋敷」「義経腰越状 五斗三番叟」「隅田川」「神楽諷雲井曲毬 どんつく」
夜の部は「ぢいさんばあさん」「新版歌祭文 野崎村」「二人椀久」
「番町〜」は怪談でおなじみの「一枚…二枚…」というあのお話ですが、今回は菊が手討ちにされるところまで。旗本の青山播磨(梅玉丈)と腰元の菊(時蔵丈)は身分違いながらも将来を誓い合った仲ですが、良家の娘を嫁に迎えるという噂に気が気でない菊は、播磨の気持ちを試したくなって、お家の重宝の皿を一枚割ってしまいます。愛する菊の粗相を寛大に許す播磨ですが、菊がわざと皿を割ったことを知ってしまい、誓い合った自分の気持ちを疑われたことが許せない播磨は、残りの皿を叩き割って、「家重代の宝も砕けた 播磨が一生の恋も滅びた」と遂には菊を手討ちにします。疑うのは女の罪、許さぬのは男の罪、とでも言うのでしょうか…切ないですね。流暢に名台詞をつらねる梅玉丈が見事でした。
「五斗〜」は待ってましたの吉右衛門丈。義経のもとにやってきた目貫師の五斗兵衛(吉右衛門丈)は実は軍師。錦戸兄弟に酒を勧められるが「お目見えまでは…」と頑なに断るものの、元が酒好きなだけに我慢できずに次から次へと呑んでしまいます。結局は義経の前でぐでんぐでんになり、杯をかぶって寝てしまいますが、最後は楽しげに三番叟を踊ります。美味しそうに酒を呑むところと「うぃ〜」と次第に酔っ払っていく様がまた面白い。吉サマの芝居のウマさが光る、楽しい演目でした。
「ぢいさん〜」は森鴎外作の近作歌舞伎。弟があてられるほど仲睦まじく暮らしていた美濃部伊織(仁左衛門丈)とるん(菊五郎丈)ですが、伊織は京へ赴任を命じられます。いさかいを起こし、お預けの身となって37年もの間離ればなれになりますが、ようやくお許しが出て江戸のなつかしい屋敷帰ってみると、そこには白髪のお婆さんが。互いに気づかない伊織とるんですが、鼻をなでる伊織の癖でそれと解り、再会を喜び合います。植えたてだった桜は立派な大木になり、長い歳月の無常を感じさせます。家に帰った伊織が障子を「ば〜ん!」と開けて子供のように喜ぶところや、年老いたるんの「よ・い・しょ」と石段を上がる様子が微笑ましく、面白かわいい。最後は二人寄り添って幕になりますが、「こんな夫婦になりたいな」と思わせる、素敵なお話でした。
「野崎村」は「お染久松」の物語ですが、雀右衛門丈、芝翫丈、雁治郎丈、富十郎丈、田之助丈と、人間国宝がなんと5人も揃い踏みの大舞台。十四・五の娘のお光をなぜ芝翫丈?と思いましたが、理由はすぐわかりました。これがまたウマい!田舎娘の気取らない雰囲気や、好きな人と祝言を迎えるウキウキ感や可愛らしさがとてもよく出ていて、生の大根をトントンと切る手さばきまでもサスガのものです。許婚の久松ともうすぐ祝言というところへ久松と恋仲の大店の娘・お染が訪ねてきて、「一緒になれないなら死ぬ」と世間知らずのお嬢ながらも必死に食い下がります。二人の気持ちを知ったお光は尼になる決意をして自ら髪を切り、身を引きます。そして大坂へ帰っていくお染と久松を気丈に見送りますが、二人の姿が見えなくなるとこらえきれずに父親にしがみついて泣き崩れます。…どうして歌舞伎は切ないお話ばかりなんですかね。。 それにしても、芝翫丈の素晴らしい名演技でした。
「二人椀久」は仁左衛門丈と孝太郎丈。傾城・松山に入れあげて身上を潰し、気が狂ってしまった椀屋久兵衛(仁左衛門丈)は夢に現れた松山と楽しい逢瀬を過ごします。美しい二人が共に舞い踊る姿はそれはそれは幻想的。さすがは親子、踊りも息がぴったりですが、もっと凄いのが長唄囃子連中。後半の盛り上げ所では、これぞまさに「一糸乱れぬ」鳥肌の立つような名演奏!超一流、本物の芸というものをまざまざと見せつけられました。最後は椀久と松山の間に紗の幕がさーっと下がり、その向こうで黄金の紙吹雪の中、松山は消えていってしまいます。本当に美しい、そして幻想的な素晴らしい舞台でした。
今回もちょっと寝てしまったけれど…(泣)大満足の1日でした。



□05/01/20 #38 寿初春大歌舞伎

お正月もやっぱりカブキ!年末年始はTVでも歌舞伎三昧。そしてナマでも観なくては!
昼の部は「松廼寿操三番叟」「梶原平三誉石切」「盲長屋梅加賀鳶」「女伊達」。夜の部は「鳴神」「土蜘」「新皿屋舗月雨暈」。
「梶原〜」は楽しみな吉右衛門丈。お得意の義太夫狂言なだけに貫禄も十分です。以前も仁左衛門丈の梶原で観ましたが、刀の柄に紐を巻くところや、最後の手水鉢を斬るところの演出は大分違いました。
「女伊達」は芝翫丈。黒の着物に白の博多帯を矢の字に結んで尺八を差し、喧嘩も強いいなせな江戸女ですが、ところどころ可愛さもあって素敵な舞踊でした。
「鳴神」は朝廷に恨みを持つ鳴神上人(三津五郎丈)が、念力で竜神を滝壺に封じ込めたために雨が降らず、困った朝廷が雲の絶間姫(時蔵丈)を送り込んで、色仕掛けで念力を解くというもの。修行一筋、女を知らないおカタイ上人は、姫の胸元に手を入れさせられてもうクラクラ(笑)。結局は騙されていたと知り、ぶっ返って怒りを爆発させ、歌舞伎らしくバッタバッタと暴れます。いつの時代も女には気を付けろですね(笑)。
「土蜘」は吉右衛門丈。能を模したもので松羽目の舞台に衣装も華やかです。病の源頼光(芝翫丈)のもとにふと現れた僧の智籌は実は土蜘の精で、幾筋もの蜘の糸を出して頼光に襲いかかってきますが、武将の平井と四天王が名刀で立ち向かい遂には土蜘の精は退治されてしまいます。能風の大袈裟で煌びやかな衣装や、蜘の巣の作り物を破って出てくる大詰、ぶっ返った蜘の精の隈取など、どれも歌舞伎らしく華やかで見どころ盛り沢山。吉右衛門丈の芝居の上手さも光った演目でした。
今回もところどころ睡魔が…折角の舞台、目ん玉をこじ明けて観ないといけませんね(苦笑)。
写真は歌舞伎座の提灯と初春らしい繭玉飾り。



□04/11/15 #37 吉例顔見世大歌舞伎

11月は何といっても歌舞伎のお正月、顔見世です!吉さま、仁左衛門丈、雀右衛門丈、福助丈etc…豪華な顔ぶれでウハウハ。昼の部は「箙の梅」「芦屋道満大内鑑」「積恋雪関戸」「松栄祝嶋台」。夜の部「鬼一法眼三略巻」「廓文章」「河内山」。
「芦屋〜」は安部清明は人間の父と狐が化けた母の間に生まれたという伝説を題材にした狂言で、狐(雁治郎丈)が化けていた葛の葉姫が家へ訪ねてきたために正体がバレそうになり、山へ身を隠すというもの。夫への置手紙の代わりに障子へ「恋しくば尋ね来てみよ…」と和歌を書いていくのですが、下から書いてみたり、文字を左右逆に書いてみたりと狐っぷりが面白い。最後は帯まで毛の生えたふさふさの着物姿で狐にぶっかえって立ち回り、「狐忠信」女版といった感じでした。
「積恋〜」は待ってましたの吉右衛門丈。関守(吉右衛門丈)が実は謀反を企む大伴黒主で、割符と印を落としてしまったため少将(富十郎丈)と小町姫(魁春丈)に怪しまれるが、そこへ桜の精墨染が現れて…といかにもカブキな?な粗筋。要は華やかで、踊りもあって楽しめれば良いワケです。そのとおりに美しい若者に美しい姫、艶やかな傾城に最後はダイナミックにぶっかえる黒主と、歌舞伎の様式美いっぱいの演目でした。
「お祭り」は仁左衛門丈の孫、千之助くんの初舞台。男前の仁左衛門丈がいなせな鳶頭に扮して、文字どおりの二枚目!!若い衆の愛之助丈と一緒に千之助くんが登場。形を決めるときも愛之助丈と息がぴったりでとても上手。お待ちかねの口上は「生まれてからまだ4歳ではございますが、本人が舞台に出たいと申すので…」と仁左衛門丈。「甘栗のお店のところ(歌舞伎座のこと)に出たいと申すので…」とお父さんの孝太郎丈。当の千之助くんは「かたおかせんのすけです。どうぞよろしくおねがいします。」と上手にご挨拶。「末永く、お見捨てなく…」という仁左衛門丈はとっても嬉しそう。上手にご挨拶の後はいなせな鳶頭と若鳶に戻って「ご挨拶したから、もうでぇ〜じょぶだ。しっかりやるんだぜぃ」「へい!おねがいもうしやす!!」と扇をぱたぱたさせながら、鳶頭におんぶされて喝采のなか退場。とってもかわいい初舞台でした。
「吉田屋」は勘当された紙衣姿のナヨっちい若旦那(雁治郎丈)が傾城夕霧(雀右衛門丈)逢いたさに廓を訪れるお話。待てど暮らせど夕霧が来ないので、若旦那はコタツでフテ寝。恋しい夕霧が現われてもワガママっぷり炸裂で夕霧をヤキモキさせるが、最後は家から見請の金が届いて勘当も許されます。楽しみにしていた間近で観る雀右衛門丈は化粧も上手でとってもお美しく、滲み出る可愛らしさに惚れ惚れ。お歳を言っては失礼ですが、いつまでもお元気で素敵な舞台を観せていただきたいものです。
「河内山」は仁左衛門丈。以前観たのは吉右衛門丈でしたが、やっぱりおハコだけあって吉右衛門丈の方がハマリ役。ちょっと物足りない感じがしてしまいましたが、後半の河内山とバレてべらんめぇになるところはなかなか良い味が出ていました。仁左衛門丈にはやっぱり河内山より直侍が似合います。
今月は豪華な顔ぶれで、たっぷり歌舞伎を堪能した1日でした。



□04/10/27 #37 芸術祭十月大歌舞伎

10月の歌舞伎座は
昼の部「寿猩猩」「熊谷陣屋」「都鳥廓白浪」
夜の部「井伊大老」「実盛物語」「雪暮夜入谷畦道」
「都鳥〜」は没落した吉田家元家臣で盲目の惣太(仁左衛門丈)が主人と気づかずに梅若丸を殺して金を奪うが、江戸で盗賊に化けてお家の重宝「都鳥」を探す嫡子松若丸(菊五郎丈)に殺され…と複雑な黙阿弥作の世話物。何と言っても惣太の仁左衛門丈が登場すると、客席からザワメキが起きるイイ男。最後は通称「おまんまの立ち回り」で、なぜかご飯を食べながら立ち回りをするのですが、おかずの納豆がびょ〜んと伸びたり、落としたたくあんを口で受けてみたりとなかなか面白い。この場の仁左衛門丈は二役で松若丸の手下の峰蔵の役ですが、イナカっぺな化粧をしてもやっぱり男前なところはサスガ!でした。
「井伊大老」は待ってましたの雀右衛門丈。尊王か攘夷かで苦悩する井伊直弼(幸四郎丈)を出世前から支える愛妾・お静の方の役ですが、「静はもう大人になりました」と言っている傍から正室の昌子の方(芝雀丈)に嫉妬してみたりと、雀右衛門丈独特の雰囲気と相まってかわいい女を熱演。夫婦愛の素晴らしさを感じさせてくれるお芝居でした。
「雪暮夜入谷畦道」は、昨年の南座顔見世のTV放送で観ていたのですが、やっぱり生で観ると全然違う。何と言っても家元の唄う艶やかな清元がそれはもう秀逸。恋しい男に逢えないので「ぶらぶら病(恋の病)」になってしまった花魁の三千歳(時蔵丈)と、追われる身の直侍(菊五郎丈)の心境を美しく唄い上げます。何とか寮に忍び込み再会する二人。嬉しさに直侍にすがり付く三千歳に「一日逢わねば 千日の 想いにわたしゃ煩うて…」の清元が。追われる身ゆえに夫婦の約束の書付を返すという直侍に「もう逢われぬなら殺して」と口説く三千歳ですが、そこへ追っ手が踏み込み「もうこの世では逢わねぇからな…」と直侍は走り去ってしまいます。「直はん!直はん…」と叫ぶ三千歳の、恋しい男と引き裂かれる切なさが痛いほど伝わってきて、思わず涙がこぼれそうになってしまいました。清元の美しい名曲、他所事浄瑠璃の粋な演出といい、切ないお話といい、大好きな演目の一つになりそうです。
今回も満足な1日でした。



□04/09/14 #36 九月大歌舞伎

9月の歌舞伎座は橋之助丈三男 宣生くんの初舞台。
演目は昼の部「高時」「茶壷」「一本刀土俵入」「菊薫縁羽衣」
夜の部「恋女房染分手綱」「男女道成寺」「蔦紅葉宇津谷峠」。
「一本刀土俵入」は世話物で面白そうな演目だったのですが、不覚にも寝てしまい大ショック!(涙)
「菊薫縁羽衣」は成駒屋勢揃いの宣生くんの初舞台。天帝と四神に扮した成駒屋の面々が優雅に舞い踊る中、お父さんの橋之助丈に抱かれた宣生くんが登場。3歳になりたてホヤホヤの宣生くんはよたよた(笑)しながらも堂々たる役者っぷり。お待ちかねの口上はおじいちゃんの芝翫丈が「あれに控えおりますのが宣生でございます」と紹介し、かわいい豆成駒に場内が注目。芝翫おじいちゃんは孫たちに囲まれてとっても嬉しそう。他の人が挨拶している中、座りながらひょこひょこと前に飛び出す宣生くんを橋之助丈がズルリ(笑)と戻す場面も。
「ご挨拶は?」「…。」「…だそうでございます。」
と面白かわいい初舞台でした。
「恋女房染分手綱」はお姫様には福助丈の長女 佳奈ちゃん、三吉には橋之助丈の長男 国生くん。「姫成駒!」「豆成駒!」「お父ちゃんそっくり!」と威勢のいい大向こうが飛ぶ。重の井には芝翫丈、腰元には珍しく橋之助丈が。鶯色に橙の帯の着付けで登場すると、珍しさにしばし場内がざわめく。
関東への輿入れをむずがる姫をなだめようと、門前で遊んでいた馬子の三吉が呼ばれて御殿へ入ってみると、そこには生き別れた母、乳母の重の井が…。「どうぞ一緒にいてくだされ、拝みまする」とすがりつく三吉に「見れば見るほど胸迫り…」と浄瑠璃が。馬子と姫が乳兄弟では姫の御名にかかわると重の井は心を鬼にして突き放そうとするものの、思わず裲襠でかばい歌舞伎らしく格好よく決まる。出立の時が来て、再びの母子の別れに重の井は笑い泣く…。
母と名乗れない悲しさに思わずもらい泣きしそうな芝翫丈の名演技でした。
「男女道成寺」は福助丈扮する白拍子花子、橋之助丈扮する白拍子桜子が道成寺の鐘のもとで共に舞い踊るが、桜子は実は男だったという変わり道成寺。「鐘に恨みは数々ござる…」の長唄で二人の白拍子が美しく舞う。途中で桜子が狂言師の鬘になると、またもや初舞台のチビさんが登場してかわいらしく挨拶。チビさんは横にいる福助丈の白拍子姿がミョ〜に気になるらしく、じ〜〜〜と見つめたまま(笑)。 「ひとえに…」と言ったらお辞儀をするように教え込まれたらしく、やたらと「ひとえに」に反応する宣生くん。その度に場内に笑いが。「ではわたくしは着替えて参ります」と橋之助丈が引っ込むと、ツラれてすたた〜〜〜と走っていくチビさん。福助丈が成駒屋と宣生くんの2つ紋が入った手ぬぐいでクドキの踊り。花子は女らしくしなやかに、左近は男らしく力強く舞い踊り、最後は金と銀の蛇の鱗文様のぶっ返り姿で鐘に上り、歌舞伎の美しさいっぱいの演目でした。
将来が楽しみな豆役者たちのかわいい舞台でした。



□04/09/05 #35 八月納涼歌舞伎

8月は恒例の3部構成。一番面白そうな3部の「四谷怪談」はチケットが取れなかったので、1部と2部を観て来ました。
演目は「元禄忠臣蔵」「蜘蛛の拍子舞」「蘭平物狂」「仇ゆめ」。
「元禄〜」は松の廊下の刃傷後の浅野家復興に奮闘する浪士・助右衛門(勘太郎丈)と、それをなだめる綱豊卿(染五郎丈)、助右衛門の妹お喜代(七之助丈)の丁々発止のやりとりが見どころ。兄の仇討ちを止めようと身を挺していさめるお喜代と、どうしても行こうとする助右衛門の取っ組み合いは兄弟ならではの真剣さ。以外に良かったのが染五郎丈。舞台外の浮名の流しっぷりで好印象でなかったのですが、良い声をしているし、演技もうまい。「イイもの持ってるな〜」と思ってしまいました。
「蜘蛛〜」は福助丈演じる美しい傾城が、実は大蜘蛛の精。舞い踊るうちに本性を現し、ものすごい形相の化け物に。大外股で歩くわ大見得は切るわで、いつものおしとやかな福助丈とは大違い。蜘蛛の巣を撒き散らして大暴れするのですが、最後は鬼退治の四天王が現れて格好良く見得を切り、「これぞ歌舞伎!」の様式美といったところでした。
「蘭平〜」は在原行平の家来 蘭平が、実は行平に殺された実澄の子で父の仇を討つべく行平を狙っているが、行平はそれを見抜いていて蘭平の刀を見ると乱心するという奇病を利用し捕らえるという話。後半はいきなり大捕物の場面。本性を表したぶっかえり姿の蘭平が、梯子を持った捕手たちと大立ち回り。出初式のようなすごい梯子技を見せたかと思えば、屋根から飛び降りたり、トンボの応酬。最後は息子に捕らえられて幕になるのですが、粗筋はともかく観客を楽しませる演目でした。
「仇ゆめ」はなんともオカシイ、そして切ない狸と太夫の恋の話。島原の深雪太夫(福助丈)に恋した狸(勘九郎丈)は踊りの師匠に化けて、太夫に大接近。太夫は師匠にホの字だったのでもう〜ルンルン。浮かれた狸は皆を巻き込んでヘンテコな踊りを踊りまくり!!勘九郎丈お得意の茶目っ気で場内大爆笑!すぐ迎えに来ると言ってその場を後にするのですが、入れ違いに本物の師匠が!打って変わって師匠のツレない素振りに「なんじゃいなぁ〜」とガッカリの太夫。…獣の足跡があるというわけで狸ということがバレてしまいます。罠の千両箱にまんまと引っかかった狸はボコボコにされて、やっとの思いで太夫に逢いに行くと、「こうしてお金を持って来たからには、そなたは立派なお客さま。今宵はわたしがお相手いたします」と太夫の優しい言葉。「深雪さま!」「狸どの!」(←笑)と天にも昇る気持ちの狸ですが、傷がもとでついに死んでしまいます。
中村屋兄弟の真剣なやりとりあり、歌舞伎の美しさあり、オモシロ可笑しい踊りあり、今回も楽しい1日でした。



□04/07/11 #34 七月大歌舞伎

7月の歌舞伎座は猿之助一門揃い踏み。猿之助丈の代わりに玉三郎丈が目玉です。久しぶりに昼夜通して1日歌舞伎漬け!
演目は「修善寺物語」「桜姫東文章」「三社祭」「義経千本桜(川連法眼館)」。
 お楽しみの玉三郎丈、「桜姫東文章」は南北物らしいシュールなお話で、ぶっ飛んだお姫様が主人公。忍び込まれて手込めにされたワルな男が忘れられなくなって男と一緒になるが、女郎屋に売り飛ばされ…と、どんどん転落していくが、最後にはお家を再興するという痛快劇。歌舞伎らしい華やかなお姫様と、男言葉とお姫様言葉が綯い交ぜになった、お姫な女郎が滑稽で面白いことこの上なし。「火がねぇ〜よォ」「早く帰ってきてたもいの」とも〜、ぐちゃぐちゃ(笑)。玉三郎丈のお美しい姿ももちろん良かったのですが、これまたなかなか良かったのが清玄、権助演じる段治郎丈!玉三郎丈相手に大抜擢の大役ですが、色悪(ワルな色男役)の権助が結構合ってる!スラリと高い背に、片肌脱いで尻端折から覗く太腿から男の色気が!!(笑)。濡れ場では逆に帯を解かれちゃったりして、も〜、大サービスです。思わずホの字になりそうでした(笑)。
 さて、夜の部「義経千本桜」はさすがは名作、見せ場が盛り沢山。鼓にされた親狐を慕って義経の家臣、忠信に化けた子狐(右近丈)が、鼓を取り戻して山へ帰っていくお話ですが、狐に戻る早変わりから欄干渡りなど、ケレンのてんこ盛り。テンポの良い立ち回りに最後は3階席まで宙乗りでも〜大興奮!!ただでさえ暑い中狐の毛皮の衣装を着て、私なら暑過ぎてセリフもぶっ飛ぶところですが、体の柔らかさといい、さすがは役者!
以前TVで見たスーパー歌舞伎があまり面白くなかったので、猿之助一門は食わず嫌いだったのですが…いざ観てみればさすがは一門、息がピッタリで、役者もなかなか良いではありませんか!笑也丈の鈴を転がすような美しい声、段治郎丈の男っぷり、右近丈の上手さ…ますます歌舞伎が好きになった、大満足の1日でした。これは面白いです!ぜひご覧あれ。



□04/06/02 #33 十一代目海老蔵襲名披露 六月大歌舞伎

六月の歌舞伎座は十一代目海老蔵襲名披露第2弾。プラチナチケットを手に入れて、早速初日を観に行ってきました。何と言っても出演陣が「超」が3コくらい付く豪華版!吉右衛門丈、仁左衛門丈、雀右衛門丈、玉三郎丈、福助丈・・・その他いろいろ豪華すぎて目が眩みます(笑)。豪華といえばずらりとロビーに飾られたお祝の品。人間国宝の工芸品に團十郎丈直筆の扇子絵(これがまた上手い)、極め付けはルイ・ヴィトンの大きな鏡台。襲名の盛大さがわかります。
昼の部の演目は「外郎売」「寺子屋」「口上」「春興鏡獅子」。「外郎売」は團十郎丈のはずでしたが、思わぬ急病で松禄丈に。「寺子屋」は主君のために我が子を失う悲しいお話ですが、松王丸の仁左衛門丈と千代の玉三郎丈の美しすぎるコンビに話しそっちのけでもううっとり。これぞ眼福といった感じです。
お待ちかねの「口上」はずらりと裃姿の正装でそれはもう華やか。特に女形の振袖が可愛くて素敵。次々とお祝いの口上を述べていきますが、それぞれにキャラクターが出ていて、オモシロいのはやっぱり福助丈と勘九郎丈。それに口上と言えば左團次丈!毒舌炸裂で場内大爆笑。隣の吉さままで笑いをこらえていました。当の海老蔵丈はますます男前に。吉例の「にらみ」もばっちり決まっていました。
「春興鏡獅子」は海老蔵丈には珍しい女形姿での踊りですが、こだわったという濃紫の振袖がとてもセンス良くしっくり、ぴたりと似合っていて、玉三郎丈も顔負けの美しさ!一つ一つ、とても丁寧に踊っているのがよくわかりました。最後は獅子の姿で勇ましく髪洗い。若さあふれる新海老蔵にこれからも期待大です。写真は團十郎丈画の祝幕。



□04/05/11 #32 博多織だいすき!

巽芸者も眠狂四郎も、カッコイイ人たちはみんな博多帯を締めている。独特の縞と独鈷文様は、きりりと粋で大好きだ。
博多帯はもともと男物の角帯で、産地の黒田藩から幕府に献上されていたものだけれど、江戸ッ子の間では葵の御紋にあやかって、形の似ている「蔦」の紋をつけるのが流行ったそうだし、巽芸者は男言葉を使ったそうだから、公方様の博多帯を締めはじめたのもなんとなく合点がいく。(これは私の推測ですが…)おまけに締め易いとくれば言うことなし!というわけで、念願の白い博多帯とかわいいがまぐちを手に入れた。出番が待ち遠しい今日この頃です。



□04/04/19 #31 こだわり

着物を着る時は、小物にもこだわりたい。袖口からにょっきり見える腕時計は着物に合わなくてなんだかツヤ消し。着物用の時計を捜してみたけれど、値段もデザインもいまいちピンとこない。ならば…とお店で見つけたブローチ形のシンプルな時計に組紐をつけて、着物用にすることに。よくよく見てみると、文字盤が気に入らない。「…千代紙模様ならかわいいのにな」と鹿の子の千代紙を貼ってみることに。時計修理士の兄貴に頼んで無理矢理やってもらうと、予想以上のかわいい出来映え!帯から下げられるように組紐を自作して完成。目盛はないけれど、かえってシンプルさがお気に入り。自分だけの着物時計ができました。



雑記帳 #21〜#30
雑記帳 #01〜#20

【和な暮らし】